脊髄損傷の原因
主な原因
脊髄損傷の主な原因には脊髄そのものに原因がある場合、脊髄の外に原因がある場合に分けられます。ここではそれぞれの原因について解説していきます。
脊髄そのものに原因

脊髄そのものに原因があるケースは、脊髄そのものに何らかの異変が生じたことを意味します。その代表例を掘り下げていきます。
脊髄梗塞
脊髄梗塞は脊髄に栄養を運ぶ動脈が閉じてしまうことで、脊髄に血液が回らなくなる状態を指します。血液が流れなくなるので脊髄は壊死してしまいます。突如として麻痺が生じ、様々な障害が急速に始まるのが特徴です。
脊髄梗塞の原因には大動脈手術の影響が大きく、手術の影響で生じてしまうことが多いほか、大動脈疾患も関係しています。一方、生活習慣病、糖尿病などが誘発するケースもあるため、注意が必要です。
脊髄出血
脊髄出血は文字通り脊髄で出血している状態を指します。脊髄を流れる動脈や静脈の形に異常が見られ、異常な形によって負荷がかかった部分から出血してしまうのです。流れ出た血液が脊髄を圧迫することで様々な症状を引き起こします。
出血は突如生じるため、当然症状も急に起こります。硬膜下・硬膜外出血の場合には24時間以内の手術が求められ、血腫の除去で回復が見込めます。出血の場所や出血してからの時間、出血量などが大きく影響を与え、自然回復のケースから手遅れになってしまうケースまで竿麻座間です。
脊髄腫瘍
脊髄腫瘍は脊髄や脊椎などにできた腫瘍です。腫瘍が生じることで脊髄を圧迫して伝達路をふさいでしまう状態を指します。脊髄腫瘍は脊髄の中にできてしまう「髄内腫瘍」、脊髄外にできる「髄外腫瘍」に分けられます。
髄外腫瘍は比較的手術で対応しやすい状態ですが、髄内腫瘍は脊髄の中にあるため、非常に難しい手術が強いられてしまいます。
上記以外のケース
脊髄を流れる血管に関連したものなどが原因のほか、性病である梅毒やHIVが脊髄にまで悪影響を及ぼすケースや脊髄を栄養面でサポートするビタミンB12が欠乏するケースが脊髄に悪影響を及ぼすこともあるのです。またHTLV-1関連脊髄症と呼ばれる指定難病も存在するなど、様々な原因があります。
脊髄の外に原因
脊髄の外に原因があるケースとしては、脊椎に何かしらの問題が生じたケースが想定されます。脊椎が脊髄に悪影響をもたらすケースをいくつかご紹介します。
硬膜外腫瘍
硬膜外腫瘍は、脊髄を囲むように存在する硬膜の外側に腫瘍が生じる疾患です。腫瘍が脊髄を圧迫することで、脊髄損傷のような状態を起こします。
硬膜外腫瘍は脊髄周辺の感染症が原因で起きるほか、床ずれや骨髄炎、歯の腫瘍などでも生じるなど、意外にもその原因は様々です。直前に発熱が見られたり、歯の治療をしたりしていると、硬膜外腫瘍を疑う必要がありますが、症状が限られている場合、いきなり硬膜外腫瘍を疑うのは酷です。
化膿性脊椎炎
化膿性脊椎炎は脊椎で細菌感染が起きている状態を指します。化膿性脊椎炎には激しい痛みや高熱を伴う「急性発症型」や微熱などが特徴的な「亜急性発症型」、ちょっとした痛みがダラダラと続く「慢性発症型」があります。
血液感染が中心とされるほか、糖尿病患者や透析患者なども感染しやすいと言われるほか、虫歯を原因とするケースもあり、硬膜外腫瘍と傾向は似ていると言えます。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは椎間板が飛び出してしまい、脊髄を圧迫する状態を指します。胸椎や腰椎などいくつもの骨が連なって脊椎が形成されますが、この骨と骨との間にあるのが椎間板です。この椎間板が何かしらの理由で外に飛び出し、飛び出した椎間板が脊髄に触れることで様々な症状が起こります。
椎間板ヘルニアはよくある症状であり、腰痛に苦しめられている人などは手術をして改善を図ることになるでしょう。
外傷が原因
脊髄損傷は高齢者だけでなく、若い世代でも起きます。その要因は強い衝撃がかかることに尽きます。外傷が原因の脊髄損傷を「外傷性脊髄損傷」と呼びます。
15歳までの子供の場合だとスポーツや交通事故が中心です。スポーツに関しては水泳やスキー、スノーボード、体操、ラグビーなどのスポーツで生じることが多いです。30歳までのケースでは交通事故が多く、自転車で交通事故に巻き込まれて脊髄損傷になるケースもあります。
年齢を重ねていくと転落や転倒が原因になるケースが増えます。交通事故よりも転落や転倒がリスクになりやすいのが中年以降の年齢の方です。
ちなみに、2018年に日本脊髄障害医学会が行った外傷性脊髄損傷全国疫学調査によれば、受傷年齢の中央値は70歳と基本的には高齢者になってから経験する疾病と言えますが、自殺企図によって脊髄損傷になってしまうケースが若い世代に見られるなど、一概にこの年代だから起こりやすいとは言えません。
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