椎間板ヘルニアの食事療法のポイント|ストレッチ法やセルフケアも紹介

椎間板ヘルニアの食事療法のポイント|ストレッチ法やセルフケアも紹介
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腰や足の痛み、もしかすると椎間板ヘルニアが原因かもしれません。椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫することで、腰や足に痛みやしびれを引き起こす病気です。厚生労働省の調査によると、椎間板ヘルニアを含む椎間板障害の患者さんは約25万人にのぼります。この記事では、椎間板ヘルニアについて、以下の内容を解説します。

  • 食事療法が椎間板ヘルニアに役立つ理由
  • 椎間板ヘルニアの食事療法3つのポイント
  • ストレッチとセルフケアで症状を緩和
  • 食事やセルフケアと医療的治療の併用が大切

記事を読むことで、椎間板ヘルニアの症状を和らげるヒントが得られます。食事療法やストレッチ、セルフケアを実践して、健康な生活を取り戻しましょう。

椎間板ヘルニアは初期段階での気づきがとても重要です。軽い違和感やしびれを見逃してしまうと、悪化するリスクが高まります。以下の記事では、椎間板ヘルニアの初期症状や見逃しやすいサイン、早期発見のためのポイントについて詳しく解説しています。
>>椎間板ヘルニアの初期症状と見逃せないサイン!早期発見のポイント

食事療法が椎間板ヘルニアに役立つ理由

椎間板ヘルニアの治療は、手術などの医療的な方法に加えて、食事やストレッチなどのセルフケアも重要です。食事内容や栄養バランスを調整する食事療法は、椎間板ヘルニアの痛みや炎症を抑え、椎間板の健康を保つことが期待できます。食事療法について、以下の内容を解説します。

  • 椎間板の健康に必要な栄養素と代謝の関係
  • 炎症や体重管理における食事の役割

椎間板の健康に必要な栄養素と代謝の関係

椎間板は、主に水分とコラーゲンなどのタンパク質で構成されています。椎間板には弾力性があるため、体をスムーズに動かせます。椎間板の健康を保つには、材料となる栄養素を体内で作り出すことが重要です。タンパク質やコラーゲンなどの栄養素を、バランス良く摂取することを心がけましょう。

効果には個人差がありますが、バランスの良い食事は代謝機能をサポートし、椎間板の健康維持に役立つと考えられています。

炎症や体重管理における食事の役割

椎間板ヘルニアによる炎症を抑えるためには、抗炎症作用を持つオメガ3脂肪酸やビタミンCなどの栄養素を積極的に摂ることが大切です。体重が増えると、腰への負担が大きくなり、症状が悪化する可能性があります。肥満を予防・改善するために、以下の食品は控えめにしましょう。

  • 白砂糖や白米などの精製された食品
  • 脂身の多い肉や揚げ物
  • アルコールやカフェイン

水分が不足すると、椎間板が乾燥して弾力性を失いやすくなる可能性があります。厚生労働省の報告によると、1日の水分摂取量の目安は、食事中の水分を含めて2.3~3.5リットルです。体重や活動量、気温などによって異なりますが、1日に2リットルを目安に水分補給をしましょう

適切な水分摂取は、椎間板の健康維持や代謝機能のサポートに役立つと考えられています。

椎間板ヘルニアの食事療法3つのポイント

食事療法は、他の治療法と組み合わせることで、より効果が期待できます。食事療法のポイントについて、以下の内容を解説します。

  • 積極的に摂りたい栄養素(ビタミンDやカルシウム、オメガ3脂肪酸など)
  • 控えるべき食品
  • 毎日の食事に取り入れる方法

積極的に摂りたい栄養素(ビタミンDやカルシウム、オメガ3脂肪酸など)

必要な栄養素を摂取することで、椎間板の健康維持や炎症の抑制、神経の保護の効果が期待できます。椎間板ヘルニアの食事療法では、以下の表の栄養素を積極的に摂取することが大切です。

栄養素期待される役割主な食品例
ビタミンDカルシウムの吸収を助けて骨の健康を支える・鮭
・きのこ類
・卵
カルシウム骨の健康を維持する・牛乳やヨーグルトなどの乳製品
・小魚
・緑黄色野菜
オメガ3脂肪酸炎症の抑制をサポートし、痛みを軽減する・いわしやさばなどの青魚
・アマニ油
・えごま油
タンパク質筋肉や椎間板を修復する・鶏肉
・魚
・大豆製品
・卵
コラーゲン椎間板の弾力性を保つ・鶏皮
・ゼラチン
・魚の骨
ビタミンC抗酸化作用により、免疫機能をサポートする・柑橘系の果物
・キウイフルーツ
・ブロッコリー

控えるべき食品

椎間板ヘルニアの食事療法では、炎症の悪化や体重増加の可能性がある、以下の食品を控えます。

  • 糖質の多い食品
  • 加工食品
  • 脂質の多い食品

糖質の多い食品は、血糖値を急上昇させ、炎症を促進する可能性があります。砂糖を多く含むお菓子やジュース、精製された食品は、控えめにしましょう。玄米や全粒粉パンなどの精製度の低い炭水化物を選択することが大切です。ハムやソーセージなどの加工食品は、添加物や保存料、塩分が多く含まれており、炎症を悪化させる可能性があります。

脂肪の多い肉類や揚げ物など脂質の多い食品も、炎症を悪化させる可能性があるため、控えてください。

毎日の食事に取り入れる方法

毎日の食事では、主食や主菜、副菜をそろえ、五大栄養素(炭水化物やタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂取しましょう。栄養素を十分に摂ることが難しい場合は、サプリメントの利用も効果が期待できます。サプリメントを利用する場合は、医師や薬剤師に相談し、適切な種類と量を選ぶことが大切です。

ストレッチとセルフケアで症状を緩和

椎間板ヘルニアの症状を和らげるための自宅でできるストレッチとセルフケアについて、以下の内容を解説します。

  • ストレッチの重要性と注意点
  • 椎間板ヘルニアに効果が期待できるストレッチ
  • セルフケアのポイント
  • 毎日続けるための工夫とタイミング

適切な方法で行うことで、症状緩和だけでなく、再発予防にもつながる可能性があります。

ストレッチの重要性と注意点

ストレッチで硬くなった筋肉をほぐし、血行を促進することで、神経への圧迫を軽減する効果が期待できます。筋肉の柔軟性を保つことは、椎間板への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐためにも重要です。ストレッチを行う際は、以下の点に注意してください。

  • 痛みを感じない範囲で行う
  • 深呼吸をしながらゆっくり行う
  • 反動をつけない
  • 毎日続ける

無理に伸ばすと症状が悪化する可能性があるため、心地良いと感じる範囲でゆっくりと行いましょう。息を止めると筋肉が緊張しやすくなるため、深い呼吸を続けながら、反動をつけずにストレッチすることが大切です。毎日ストレッチを続けると、筋肉の柔軟性が維持され、症状の改善や再発予防につながる可能性があります。

痛みを軽減するための姿勢の工夫やストレッチ法も意識することが大切です。無理なく取り入れられる方法を知っておくことで、日常生活の負担を減らせます。
>>椎間板ヘルニアの痛みを和らげる姿勢と効果が期待できるストレッチ法を紹介

椎間板ヘルニアに効果が期待できるストレッチ

以下の表のストレッチを行うことで、椎間板ヘルニアの症状緩和が期待できます。

ストレッチ方法期待できる効果
両膝を抱えるストレッチ1.仰向けに寝る
2.両膝を胸に引き寄せ、両手で抱える
3.15~30秒キープする
腰と背中の筋肉をリラックスさせ、痛みを軽減する
腰をひねるストレッチ1.仰向けに寝て、両膝を立てる
2.両膝をくっつけたまま、肩を床から離さないようにして左右交互にゆっくりと倒す
腰の柔軟性を高め、椎間板への負担を軽減する
太ももの裏を伸ばすストレッチ1.椅子に座り、片足を伸ばす
2.伸ばした足のつま先を上に向け、上体を前に倒す
3.太ももの裏の筋肉が伸びているのを感じながら、15~30秒キープする
太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)の柔軟性を高め、腰への負担を軽減する

セルフケアのポイント

セルフケアでは、より効果的に症状を緩和するために、症状や状態に合わせて以下の方法を使い分けたり、組み合わせたりします。

  • 温熱療法
  • 冷却療法

温熱療法は、慢性的な痛みに効果が期待できます。患部を温めることで、血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます。ホットタオルや温湿布などを患部に当て、15~20分程度温めます。やけどをしないように、温度には注意が必要です。

冷却療法は、急性の痛みに効果が期待できます。患部を冷やすことで、炎症や痛みを軽減できる可能性があります。保冷剤や氷嚢などをタオルに包んで患部に当て、15~20分程度冷やします。凍傷を防ぐため、直接肌に当てないように注意しましょう。

日常生活では正しい姿勢を保ちましょう。長時間同じ姿勢を続ける場合は、1時間に1回程度の休憩を取り、軽いストレッチを行うことが大切です。

毎日続けるための工夫とタイミング

ストレッチやセルフケアは、毎日続けることが大切です。習慣づけるために、決まった時間に行ったり、家族と一緒に取り組んだりしてください。ストレッチは、朝起きた後やお風呂上がり、寝る前などに行うのがおすすめです。朝起きた後にストレッチを行うことで、寝ている間にこわばった筋肉をほぐす効果が期待できます。

お風呂上がりは、血行が促進されているため、効果的に筋肉をほぐせます。寝る前にストレッチを行うと、リラックスした状態で眠ることが期待できます。

食事療法やセルフケアと医療的治療の併用が大切

食事療法やセルフケアは、保存療法などの医療的な治療と組み合わせて行うことで、より効果が期待できます。保存療法や手術などについて、以下の内容を解説します。

  • 保存療法との組み合わせで効果アップ
  • 手術が必要なケースの目安

保存療法との組み合わせで効果アップ

保存療法とは、手術以外で椎間板ヘルニアを治療する方法です。保存療法の種類や、食事療法とセルフケアとの組み合わせにより、各治療の効果アップが期待できます。保存療法との組み合わせの詳細は、以下の表のとおりです。

保存療法の種類概要意識すること
薬物療法痛みや炎症を抑える薬を用いる治療法炎症を悪化させる食品を控え、栄養バランスの良い食事を心がける
理学療法(運動療法やストレッチ)専門家の指導によるストレッチやエクササイズなどを行い、体の機能改善を目指す治療法筋肉や関節に必要な栄養素を食事で補い、温熱療法などのセルフケアで柔軟性を高めること
注射療法炎症部位や神経に直接注射を行い、痛みを緩和する治療法抗炎症作用のある食品を取り入れ、再発予防のセルフケアを続ける

手術が必要なケースの目安

症状が進行している場合や、保存療法を続けても効果が見られない場合は、手術を検討するケースがあります。以下の症状や治療期間を目安に、手術を検討します。

  • 日常生活に支障が出るほどの激しい痛みやしびれが続く
  • 足の筋力低下や、排尿・排便障害などの神経麻痺の症状がある
  • 3か月以上保存療法を続けても症状が改善しない

食事療法やセルフケアは、術後の回復を早め、再発を防ぐために重要です。手術で損傷した椎間板が修復された後も、継続的に必要な栄養素をバランス良く摂取したり、適切な運動を行ったりして、健康な状態を維持しましょう。

椎間板ヘルニアは「どのくらいで治るのか?」「無理のない過ごし方は?」といった自然治癒に関する疑問を持つ方も多いはずです。以下の記事では、椎間板ヘルニアの自然治癒にかかる期間や回復の流れ、セルフケアを行う際の注意点について詳しく解説しています。
>>椎間板ヘルニアの自然治癒期間は?回復過程とセルフケアの注意点を解説

まとめ

椎間板ヘルニアは、神経が圧迫されることで腰や足の痛みが引き起こされる疾患です。症状の緩和や再発予防には、医療的治療と併せて、食事療法やセルフケアが重要です。栄養バランスの良い食事や、タンパク質など椎間板の健康を保つ栄養素を含む食品を摂取すると、椎間板の健康維持や炎症の抑制、体重管理に役立ちます。

ストレッチや温熱・冷却療法などのセルフケアを継続すると、症状の軽減や再発防止が期待できます。食事療法やセルフケアは、理学療法などの医療的な治療と組み合わせると、より効果を期待できます。生活習慣を整え、健康な体を維持しましょう。

保存療法で改善が見られない場合には、手術を検討するケースもあります。以下の記事では、椎間板ヘルニア手術にかかる費用や保険適用の条件について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>椎間板ヘルニアの手術の費用相場と保険適用の条件を詳しく解説

参考文献

厚生労働省:患者調査の概況(令和5年)
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(令和7年)

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