腰や脚の痛みやしびれは、もしかしたら椎間板ヘルニアのサインである可能性があります。放っておくと日常生活に大きな支障をきたす可能性もある怖い病気です。くしゃみや咳で激痛が走る、脚のしびれを感じるなど、心当たりのある方は要注意です。
本記事では、椎間板ヘルニアを早く治すための方法や、再発リスクを低減するための生活習慣について解説します。記事を読むことで適切な治療と日々のケア方法がわかり、症状の緩和が期待できます。
当院では、椎間板ヘルニアをはじめとした整形外科疾患に加え、自己脂肪由来幹細胞を活用した再生医療にも積極的に取り組んでおります。手術を避けたい方や、長年痛みに悩まされている方にとって新たな選択肢となるよう、最先端の治療をご提案しています。
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目次
椎間板ヘルニアを早く治すための基本
椎間板ヘルニアを早く治すための基本は、以下の3つです。
- 適切な治療を受ける
- 運動療法で回復を促す
- 専門的な治療(薬・注射・手術)を適切に活用する
適切な治療を受ける
適切な治療を受けるには、まず医療機関で正確な診断を受けることが重要です。診断は、問診や神経学的診察、画像検査(レントゲンやMRI、CTなど)を通じて行われます。レントゲン検査では骨の状態を確認し、MRI検査では椎間板の状態や神経の圧迫具合を詳細に確認できます。
CT検査は骨の状態をより立体的に把握するのに役立ちます。痛みの原因を特定することで、あなたに合った治療法を選択できます。腰椎椎間板ヘルニアの治療は、保存療法と手術療法に大別されます。
保存療法には、薬物療法(痛み止めや消炎鎮痛剤、筋弛緩薬など)、理学療法(温熱療法や牽引療法、運動療法など)、神経ブロック注射などがあります。手術療法には、内視鏡を用いた低侵襲手術や従来の開腹手術など、さまざまな方法があります。
運動療法で回復を促す
運動療法は、腰や背中の筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、椎間板への負担を軽減します。痛みやしびれを和らげる可能性がありますが、効果には個人差があります。運動療法の種類や効果について、以下の表でまとめています。
運動の種類 | 効果 | 注意点 |
ストレッチ | 筋肉の柔軟性を高め、神経への圧迫を軽減する | 痛みを感じない範囲で行う |
筋力トレーニング | 腰や背中の筋肉を強化し、腰椎を安定させる | 正しいフォームで行う |
ウォーキング | 全身の血行を促進し、回復を促す | 適度なペースで行う |
水泳 | 腰への負担が少ない | 水温に注意する |
以下の記事では、椎間板ヘルニアの痛みを軽減し、柔軟性を高めるストレッチ方法について詳しく解説しています。自宅で無理なく続けられる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
>>椎間板ヘルニアに効くストレッチ!自宅でできる痛み軽減法
専門的な治療(薬・注射・手術)を適切に活用する
椎間板ヘルニアの治療には、薬物療法や注射療法、手術療法など、さまざまな専門的な治療があります。保存療法で十分な改善が見られない場合や、症状が重い場合に検討されることがあります。どのような治療が適切かは、医師の診断にもとづいて個別に判断されます。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤、筋弛緩薬など)
- 注射療法(神経ブロック注射や硬膜外ブロック注射など):痛みやしびれを直接的に緩和する注射
- 手術療法:椎間板ヘルニアの原因となっている飛び出した椎間板を切除する手術
椎間板ヘルニアを早く治す日常生活の工夫
椎間板ヘルニアによる腰や脚の痛みやしびれは、日常生活に大きな影響を与えることがあります。医師の診断を受けることは重要ですが、症状や状態によっては、日常生活の工夫により症状が緩和される場合もあります。椎間板ヘルニアを早く治す日常生活の工夫について、以下の5つを解説します。
- 長時間の同じ姿勢を避けてこまめに動く
- 適度な運動とリハビリを継続する
- 正しい姿勢を意識して腰への負担を減らす
- バランスの良い食事で回復力を高める
- 良質な睡眠をとる
長時間の同じ姿勢を避けてこまめに動く
長時間同じ姿勢を続けることは、椎間板への負担を増大させ、症状を悪化させる大きな要因です。デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢を強いられる場合は特に注意が必要です。
人間の体は、同じ姿勢を長時間続けることで、特定の筋肉に負担が集中し、血行不良を引き起こします。血行不良は、椎間板への栄養供給を滞らせ、回復を遅らせます。1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをしたり、数分間歩いたり、姿勢を変えるなど、こまめな休憩を挟みましょう。
デスクワークの方であれば、パソコン作業中にタイマーをセットしておくと、休憩を忘れずに済みます。立って作業できるスタンディングデスクを導入するのも効果的です。
以下の記事では、椎間板ヘルニアの悪化を防ぐために避けるべき行動や習慣について、詳しく解説しています。日常生活での注意点をしっかり押さえて、無理のないケアを心がけましょう。
>>椎間板ヘルニアでやってはいけないこと!悪化を防ぐ注意点
適度な運動とリハビリを継続する
適度な運動は、腰周りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減するだけでなく、全身の血行を促進し、回復力を高める効果も期待できます。ウォーキングや水泳など、腰に負担の少ない有酸素運動がおすすめです。
ウォーキングは、特別な道具や場所を必要とせず、気軽に始められる運動です。最初は10分程度から始め、徐々に時間を延ばしていくことをおすすめします。水泳は、水の浮力によって腰への負担が軽減されるため、痛みがある方でも比較的楽に行えます。プールを利用する際は、水温に注意し、無理のない範囲で運動しましょう。
医師や理学療法士の指導のもと、個々の症状に合わせたリハビリテーションを行うことも、回復を早めるうえで重要です。リハビリテーションでは、ストレッチや筋力トレーニング、バランス訓練などを通して、痛みの軽減や機能の回復、再発予防を目指します。専門家の指導を受けることで、正しい運動方法を学べ、安全かつ効果的に回復が期待できます。
正しい姿勢を意識して腰への負担を減らす
正しい姿勢を保つことは、椎間板への負担を軽減し、痛みを和らげるために重要です。立っているときは、耳や肩、腰、膝、くるぶしが一直線になるように意識し、背筋を伸ばし、お腹を軽く引き締めましょう。座るときは、浅く腰掛けず、深く座り、背もたれを使って腰を支えるようにしましょう。
猫背は腰への負担を増大させるため、できるだけ避け、常に正しい姿勢を意識することが重要です。重いものを持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落とし、背中ではなく脚の力を使って持ち上げるようにしましょう。腰を捻る動作も椎間板に大きな負担をかけるため、なるべく避け、体全体を動かすように意識しましょう。
バランスの良い食事で回復力を高める
健康維持のため、普段の食事にカルシウムやタンパク質、ビタミンDなどの栄養素を含む食品を取り入れることが一般的に推奨されています。それぞれ含まれている食品を以下の表にまとめています。
栄養素 | 豊富な食材 |
カルシウム | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚 |
タンパク質 | 肉、魚、卵、大豆製品 |
ビタミンD | 鮭、マグロ、卵黄 |
適正体重を維持することも大切です。肥満は椎間板への負担を増大させるため、バランスの良い食事と適度な運動で体重管理を心掛けましょう。過度なダイエットは、栄養不足を招き、回復を遅らせる可能性があるため、注意が必要です。
良質な睡眠をとる
睡眠中は、成長ホルモンが分泌され、体の修復過程が活発になるとされています。良質な睡眠を十分にとることは、全身の健康維持に役立つ可能性があります。快適な睡眠を得るためには、以下の工夫をすることをおすすめします。
- 寝る前にカフェインを摂取しない
- 毎日同じ時間に寝起きする
- 寝る前にリラックスする時間を作る
- 寝具を自分に合ったものにする
スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、睡眠の質を低下させます。寝る1時間前からは使用を控えましょう。アロマテラピーや軽いストレッチなども、リラックス効果を高めるのに役立ちます。
睡眠時間は、個人差がありますが、7~8時間が目安です。睡眠不足は、体の回復力を低下させるだけでなく、ストレスを増やし、痛みを悪化させる可能性もあります。十分な睡眠時間を確保しましょう。
以下の記事では、椎間板ヘルニアの回復を促進するために取り入れたい生活習慣について、さらに詳しく解説しています。無理なく続けられるポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
>>椎間板ヘルニアを早く治す方法!回復を促進する生活習慣
椎間板ヘルニアの再発を防ぐためのケア方法
椎間板ヘルニアの痛みやしびれから解放された後も、再発の可能性は常に付きまといます。しかし、適切なケアを継続することで、再発のリスクを軽減できる可能性があります。以下では、再発リスクの低減に役立つとされる方法を4つご紹介します。
- 体幹を鍛えて腰を支える筋力を強化する
- ストレッチで柔軟性を向上させる
- 日常生活での姿勢や動作を改善する
- 定期的なメンテナンスと医療機関でのチェックを行う
体幹を鍛えて腰を支える筋力を強化する
体幹とは、頭と手足を除いた胴体部分全体を指します。体幹は、お腹や背中、腰回りの筋肉など、多くの筋肉が集まって私たちの姿勢を維持し、体を動かす土台になっています。体幹が強ければ、腰への負担を軽減し、椎間板へのストレスを最小限に抑えることができます。
体幹トレーニングは、特別な器具やジムに通わなくても、自宅で簡単に行うことができます。プランクやブリッジは、お腹や背中、腰、お尻の筋肉を強化するのに効果的です。
ピラティスはインナーマッスルを鍛えるのに効果的です。インナーマッスルは、姿勢の細かい調整や、関節を安定させる役割を担っています。ピラティスを適切に行うことで腰への負担軽減につながる可能性があります。
ストレッチで柔軟性を向上させる
ストレッチを行うことで、硬くなった筋肉を伸ばし、柔軟性を高めることができます。筋肉は、使わずにいると硬くなり、柔軟性を失ってしまいます。腰回りの筋肉が硬いと、腰椎への負担が増し、椎間板ヘルニアを再発するリスクが高まります。
柔軟性のある筋肉は、衝撃を吸収し、腰への負担を軽減する役割を果たします。座って上半身を前に倒すストレッチや、仰向けに寝て膝を抱えるストレッチなど、腰回りの筋肉を効果的に伸ばすストレッチはさまざまです。
ストレッチは、お風呂上がりなど体が温まっているときに行うのが効果的です。筋肉がリラックスしているため、より効果的に筋肉を伸ばすことができます。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。
日常生活での姿勢や動作を改善する
正しい姿勢を意識し、腰への負担を減らす動作を心がけることは、再発予防に重要です。デスクワークなどで長時間座り続けていると、猫背になりやすく、腰に大きな負担がかかります。座るときは、背筋を伸ばし、骨盤を立てるように意識しましょう。椅子に深く腰掛け、背もたれを利用することで、腰への負担を軽減できます。
急な動作や無理な姿勢は避け、常に腰を意識した行動を心がけることが大切です。
定期的なメンテナンスと医療機関でのチェックを行う
椎間板ヘルニアは、再発しやすい病気です。一度症状が落ち着いても、油断せずに定期的に医療機関を受診し、専門医のチェックを受けることが重要です。レントゲンやMRIなどの画像検査によって、椎間板の状態を詳しく確認できます。再発の兆候を早期に発見できれば、適切な治療を早期に開始し、重症化を防ぐことができます。
まとめ
椎間板ヘルニアの症状緩和には、医師の診断にもとづく適切な治療と生活習慣の見直しが重要と考えられています。以下の方法が症状緩和に役立つ可能性があります。
- 保存療法や手術といった専門的な治療
- 医師や専門家の指導のもとでの運動療法
- 日常生活での姿勢への配慮
- バランスの良い食事
- 十分な睡眠
定期的な医療機関での診察を受けることで、状態の変化を適切に把握できます。椎間板ヘルニアかどうかわからない方や、腰の状態に不安がある方は、医療機関の診察をおすすめします。
以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアに特有の症状や影響、改善に向けた具体的なアプローチについて詳しく解説しています。首まわりに不調を感じる方はぜひ参考にしてください。
>>頚椎椎間板ヘルニアの症状とその影響!効果的な改善法
参考文献
Taşpınar G, Angın E, Oksüz S. The effects of Pilates on pain, functionality, quality of life, flexibility and endurance in lumbar disc herniation. J Comp Eff Res, 2023, 12(1), p.e220144.
Kreiner DS, Hwang SW, Easa JE, et al. An evidence-based clinical guideline for the diagnosis and treatment of lumbar disc herniation with radiculopathy. Spine J, 2014, 14(1), p.180〜191.
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